ヘレディタリー。 映画ヘレディタリー 継承のあらすじとネタバレ解説【徹底考察】│縦の糸はホラー 横の糸はゾンビ

ヘレディタリー/継承

ヘレディタリー

解説 家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いたホラー。 祖母エレンが亡くなったグラハム家。 過去のある出来事により、母に対して愛憎交じりの感情を持ってた娘のアニーも、夫、2人の子どもたちとともに淡々と葬儀を執り行った。 祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム家に奇妙な出来事が頻発。 最悪な事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊してしまうが、亡くなったエレンの遺品が収められた箱に「私を憎まないで」と書かれたメモが挟まれていた。 「シックス・センス」「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレットがアニー役を演じるほか、夫役をガブリエル・バーン、息子役をアレックス・ウルフ、娘役をミリー・シャピロが演じる。 監督、脚本は本作で長編監督デビューを果たしたアリ・アスター。 2018年製作/127分/PG12/アメリカ 原題:Hereditary 配給:ファントム・フィルム スタッフ・キャスト ネタバレ! クリックして本文を読む この映画の不穏で恐ろしいのだけれど、どことなく笑ってしまうような感覚は、どこまでが監督の手のひらの内なのだろうか? とにかく主人公たちを突き放した、ただ無機質に観察しているかのような映像によって、われわれは傍観者の役割を与えられる。 主人公家族はとんでもない悲劇に見舞われ、やがて超常現象的な恐怖が矢継ぎ早に訪れる。 彼らの身になったらとても正気ではいられないのだが、映画の視点の冷徹さが、そしてその冷徹さを成立させるミニチュアを見ているかのような画郭が、感情移入を許さないのだ。 それでいて、あらゆる場面がいちいち異様であり、その圧が尋常でないため、どれだけ静かなシーンであっても目をそらすことができない。 ぶっちゃけるとラストシーンはあれでよかったのだろうかと疑問を抱いたりもするのだが、表現の力という点で、全編、監督の才気に気圧されずはいられないパワーに満ちた新種のエンタメだと思う。 この映画はあまりに危険だ。 最近はホラーというジャンルも様々な偏移をたどって細分化され、決定的な場面を見せずに恐怖を描いたり、また笑いの要素を逆手にとって身の凍えるほどの場面を作り上げるなどの異色作も多く見られたが、本作はそのいずれとも大きく異なる。 ある意味、この時代に現れるべくして現れた、真の恐怖をもたらず人間離れした存在とでも言おうか。 序盤からあらゆる細部に胸の奥をゾワゾワとさせられ、A24らしいアーティスティックな演出(映像、音響、演技)がかつてない感触で肌を撫で続ける。 そして幾つかのシーン。 思わずギャッと悲鳴をあげそうになった。 ストーリーの詳細は明かさないが、一言で言えば「邪悪」。 かつて『エクソシスト』が世に放たれた時にも、人々は触れてはならないもの、見てはいけないものを目にしたような感覚を覚え、この邪悪さに心底恐怖したのだろう。 以上、私は警告した。 後は自己責任で存分に震撼されたい。 ドールハウスから現実の室内へシームレスにつなぐショットの冒頭から異常な感覚が持続する。 不穏な気配をあおるインダストリアル系のBGM。 重さと不気味さに圧倒される。 アリ・アスター監督、戦慄のデビュー作。 30そこそこの若さでこの確かな演出力はどうだ。 自身の脚本で紡ぎ出すストーリーは、欧州由来の伝統的な悪魔信仰や悪魔的な存在への畏怖に根差す要素もあり、ロジカルな点で日本人の腑に落ちるとは言いがたいが、感覚を直撃する恐怖描写でグローバルなホラー映画としての価値を獲得した。 これが長編映画デビューという彼女の出演作をもっと観たい。 近年の「イット・フォローズ」「ドント・ブリーズ」に並ぶ独創的な傑作ホラーだと感じた。 「ドクター・ドリトル」 C 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved. 「ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷」 C 2018 Danger House Holding Co. , LLC. All rights reserved. 「ANNA アナ」 C 2019 SUMMIT ENTERTAINMENT,LLC. ALL RIGHTS RESERVED. 「ハリエット」 C 2019 Focus Features LLC.

次の

『ヘレディタリー 継承』感想(ネタバレ)…オカルト映画の突然変異 : シネマンドレイク:映画感想&レビュー

ヘレディタリー

はじめに みなさんこんにちは。 ナガと申します。 今回はですね 映画『ヘレディタリー 継承』についてお話していこうと思います。 本記事は作品のネタバレになるような内容を含む解説・考察記事になります。 作品を未鑑賞の方はお気をつけください。 良かったら最後までお付き合いください。 『ヘレディタリー 継承』 あらすじ 祖母のエレンが亡くなり、グラハム家は喪に服す。 しかし、その日を境にして彼らの周りに不可解な現象が起こり始める。 墓穴から取り出されたエレンの屍。 祖母の遺品のスピリチュアル本に挟まれた「私を憎まないで」というメモ。 娘のチャーリーの異変。 それでも何とか平静を保とうとしていたグラハム一家。 しかしある夜、そんなグラハム一家にさらなる悲劇が襲い掛かります・・・。 これを機に変調をきたした母アニー。 そして物語は誰も想像できない方向へと突き進んでいくのでした・・・。 キャスト・スタッフ 監督は、本作で長編映画初監督となる アリ・アスターです。 『ヘレディタリー 継承』の演技も圧巻だったよね! また息子のピーター役には アレックス・ウルフが参加しています。 現在公開中の『ライ麦畑で出会ったら』や2018年に全世界で大ヒットを記録したにも主人公役として出演しています。 その他キャストもご紹介しておきますね。 チャーリー・グラハム( ミリー・シャピロ) アニーとスティーブの娘。 冒頭で電柱に頭をぶつけて命を落とす。 スティーブ・グラハム( ガブリエル・バーン) アニーの夫。 温和な性格で、徐々に気が狂っていく彼女を支えようとするが・・・。 ジョーン( アン・ダウド) 娘の死で精神的に追い詰められていたアニーを支える女性。 彼女も息子と孫を亡くしたというが・・・? より詳しい作品情報を知りたい方は公式サイトへどうぞ! 参考: ぜひぜひ映画館で鑑賞してほしい作品です! スポンサードリンク 映画『ヘレディタリー 継承』徹底解説・徹底考察! ここからは 映画『ヘレディタリー 継承』を徹底的に解剖していこうと思います。 記事の都合上ここからはネタバレを含む内容になりますので、お気をつけください。 冒頭にも登場したミニチュアハウスの意味 冒頭のミニチュアハウス演出 C 2018 Hereditary Film Productions, LLC 映画『へレディタリー 継承』はカメラが部屋の中に置かれているミニチュアハウスへとクローズアップしていくショットで幕を開けます。 このショットを見た時に思い出したのはスタンリー・キューブリック監督のでした。 映画『シャイニング』の中でも冒頭にカメラが鏡の中に映る人物にフォーカスしていくショットがありまして、それが映画そのものが「鏡の向こうのもう1つの世界のレイヤー」の存在を示唆していたわけです。 一方で『へレディタリー 継承』のミニチュアハウスは何を意味していたのかというと、グラハム一家は悪魔パイモンの「ドール」に過ぎないということですよね。 作中では徐々に悪魔に侵されていく母アニーがミニチュアハウスを作っていましたが、彼女は悪魔によって操られていました。 つまり、ミニチュアハウスを作っていたのは悪魔の意志であり、人間を超越した大きな何かによってグラハム一家が弄ばれていたという様をアイコニックかつアイロニックにメタファー化したものであるわけです。 この冒頭のファーストカットでアリ・アスター監督の凄まじい才能の片鱗を味わったような気がします。 アニーとエレンのペンダント 劇中で印象的だったのは、やはりアニーとエレンがつけていたペンダントに始まるあの紋章でしょう。 これは一体何を表しているのかと言いますと、 地獄の大王パイモンのシジルなんですね。 パイモンのシジル () 冒頭のシーンでアニーが既にこの紋章のペンダントを身につけていたことからも彼女もまた徐々に悪魔に蝕まれていたことが伺えます。 また、注目したいのは娘のチャーリーの事故についてです。 自己のシーンでは明かされませんが、後にチャーリーが激突した電柱にはパイモンのシジルが刻印されていたことが明らかになります。 これによりチャーリーの自己が偶然ではなく、必然であったことが分かります。 またそれを半ば強引にかつ無意識的に手引きしたのが、母のアニーであるという点も印象的です。 チャーリーの舌鳴らし 映画『へレディタリー 継承』を鑑賞しながら、思わず舌を鳴らしたくなった人は私だけではないでしょう。 本作で最も印象的な音の1つがやはりチャーリーが舌を鳴らす音です。 一体どんな意味があるんだろ? これは映画演出的な意味合いで非常に効果的に機能していることが指摘できます。 まず、アニーが劇中でチャーリーのことを評して 「あなたは生まれた時も泣かなかった。 」と発言しています。 ここから推測するにチャーリーには生まれつきペイモンの魂が宿っていたのではないでしょうか。 とすると、チャーリーのあの特徴的な舌を鳴らす音というのは悪魔王パイモンを想起させるものであると読み解くのが自然です。 さらにチャーリーと舌鳴らし、そしてパイモンという3つのモチーフをあの「音」でもってイメージを統合したことで後のシーンでこの演出が機能してきます。 ピーターが部屋で寝ているシーンや、教室で授業を受けているシーンでふと「舌鳴らしの音」が聞こえてきただけで、我々はパイモンの存在を想起することとなるからです。 だからこそ我々はあの「音」を聞いただけで心を掻きむしられ、平静を保てなくなるほどの居心地の悪さを覚えるわけです。 夢遊病の母アニー 本作『ヘレディタリー 継承』において 母親のアニーは夢遊病であるという設定が明かされています。 これも作中の人物の行動を読み解いていく上で重要なポイントになるのではないかと考えています。 というのも「夢」というものはフロイトやユングの時代から人間の無意識下より届くメッセージのようなものなのです。 さて、それを踏まえた上で、劇中で明かされた夢遊病で夜中に徘徊していたアニーが息子のピーターを殺害しようとしたという事象を考えてみると、少し違った角度から見ることができます。 なぜなら、それはアニーのピーターに対する無意識下にある愛の表れだからです。 彼女は母としてピーターに愛僧入り交じった複雑な感情を抱いています。 アナタを産みたくなかったとも、アナタを愛しているとも発言しました。 ただこの 「あなたを生みたくなかった。 母親になりたくなかった。 」という発言すらも彼女の「愛」なのではないかと私は思うんです。 自分の母親がカルト宗教に携わっており、産んでしまえば自分の息子が何らかの形でそこに巻き込まれてしまうという懸念を彼女は常に持っていたんでしょう。 だからこそ彼女はピーターには祖母と距離を置かせたわけですし(代わりにチャーリーを差し出した)、夢遊病時の無意識の行動で彼を殺そうとしたんだと考えています。 アニーはピーターを殺すことで、パイモンの生贄になるという運命から自分の息子を救いたかったわけです。 アニーの兄チャールズの真相 みなさんは本作の中でサラッと アニーの兄であるチャールズが16歳の時に自殺していたという事実に触れられていたのを覚えていますでしょうか。 映画を見終わってから考えると、これが非常に重要な意味合いを持っていたことが分かります。 チャールズは自身の遺書の中に 「母が自分の中に何かを入れようとした」と書いたわけですが、それはまさしくペイモンのことですよね。 この事件があったことでアニーは自分の母エレンが男の子に対して何かを企んでいることを悟ったのでしょうし、後に自分の息子であるピーターへの接触を禁ずる理由にもなったんだと思います。 かなり冒頭の時点で結末に至るまでのヒントが提示されていたというのが何とも面白いです。 祖母エレンがチャーリーに「男の子になって欲しい」と告げていたのも、要はパイモンの「器」になるための要件を満たせるのは同じ血を引く男性でなければならなかったからなんですよね。 スポンサードリンク 謎の光の演出 光を使った印象的な演出 C 2018 Hereditary Film Productions, LLC これが先ほど話題にあげた「舌鳴らし音」ともう1つ素晴らしい演出だと思いました。 映画『へレディタリー 継承』を見ていると、途中から謎の光が見えるシーンがたくさんありますよね。 光の演出は特にアニーがジェーンに唆されて、パイモンを降霊してしまった瞬間から頻発するようになりました。 つまりアニーがパイモンをグラハム家に恒例させてしまったことになりますし、あの光の正体はパイモンということになるわけです。 終盤に屋根裏部屋の窓から庭に飛び降りたパイモンから黒い影が飛び出していき、代わりに彼の心臓のところにあの光が照射され、消えるという演出はまさにパイモンがピーターに宿ったことを示唆しています。 でも悪魔を「光」で表現するって面白いよね? そうなんです。 普通に考えれば、「悪魔」は闇を想起させますから、影で表現するのが妥当でしょう。 しかし、この『へレディタリー 継承』という作品は冒頭のミニチュアを俯瞰で眺めるシーンからも分かる通りで、悪の視点でかつ超越的な視点が「カメラ」と化しているわけです。 本作の映像は夜のシーンと昼間のシーンが電気のスイッチを切り替えるかのようにパチッと一瞬で変化していく編集になっていますが、やはり印象的なのは夜のシーンです。 そんな夜の暗闇の中で煌々と輝く存在、それが悪魔パイモンなのです。 悪魔という一見闇と密接にリンクしているように思えるモチーフを「光」で表現し、夜の陰の中で存在感を際立たせた点は巧いと言わざるを得ませんね。 ちなみにラストシーンで登場したパイモンの像の右手と教室で突然発狂したピーターの右手が同じ形になっているというのも面白い点です。 イラストでピーターの目が消されていた理由 これに関してはいまいち理由が語られていませんよね。 劇中でチャーリー(パイモンの意志)が手帳に描いたピーターは常に目を黒く塗りつぶされていました。 また、あの手帳に書かれたことが実際にピーターの身に降りかかることもしばしばだったんですが、 あの目が潰されてしまう描写だけは現実になっていません。 もちろん「目を奪う」という行為を、意識や魂を奪うという行為の比喩としてイラストに表出させた可能性もありますし、そうであれば パイモンが彼の身体を乗っ取るというラストを示唆していたことになります。 一方で『ヘレディタリー 継承』には劇場公開版の前に作られていた上映時間が3時間近くあるバージョンがあるようです。 そのバージョンには、どうやらピーターが自分の目を引っ掻き出すシーンがあるようでして、あのイラストはそのシーンを示唆して作られたもののようです。 首を切断されたグラハム家の女性たち 映画『ヘレディタリー 継承』を最後まで見ていくと、グラハム家の女性たちはものの見事に全員が首を切られていることに気がつきます。 まず、祖母のエレンは墓荒らしに遭い、屍から頭部だけが切断され、胴体はグラハム一家の住む家の屋根裏に放置されていました。 次に、車に乗っていた際に事故に遭ってしまったチャーリーも頭部を電柱に直撃させ、首がちぎれて死んでしまいます。 最後に母アニーも終盤のシーンで自ら首を切って死んでいましたよね。 つまり親子3世代にわたってグラハム家の女性は全員が首を失う形で命を落としているわけです。 これは彼女たちが人間の歴史にも数多く存在した儀式における「生贄」の役割を果たしたという風に解釈できます。 皆さんは三国志演義における「饅頭」のエピソードをご存じですか? 瀘水の岸に饅頭をならべ、亡魂を祀る孔明 これは諸葛孔明が南蛮遠征から成都に引き上げる際に、瀘水を通りがかった際に起こったと言われている逸話です。 その川には言い伝えがあって、荒れた川を収めるには49の人間の生首を生贄に捧げなければならないというものでした。 その時に孔明が人間を生贄に捧げるのではなく、人の頭部を模した「饅頭」を作成して生贄に捧げ、無事に荒れた河を収めたというのがこのエピソードの筋です。 これは私が一番印象に残っている「生首」を生贄に捧げるエピソードの1つなのですが、これだけでなく世界中の歴史や神話、民俗の中で「生贄」という概念はしばしば登場します。 また、『ヘレディタリー 継承』のように女性が生贄に捧げられるというのは非常に多いケースだったようです。 ちなみにパイモンの実在の姿は 「王冠を被り女性の顔をした男性の姿」だと言われています。 そう考えると女性が首を切られ、男性は身体を乗っ取られたという一連の描写にも納得がいきます。 蟻のイメージはダリの絵画からの引用? これは個人的な見地からの推測混じりではあるんですが、切断されたチャーリーの生首に蟻が湧いているシーンは嫌悪感MAXでしたよね。 ところで皆さんはこの絵を知っていますか? 『記憶の固執』サルヴァトール・ダリ これはダリの最も有名な絵画の1つでもある 『記憶の固執』ですよね。 その左下に注目してみると、懐中時計のようなものに蟻がうじゃうじゃと湧いている様が確認できます。 しばしばダリの絵画における「蟻」は「死」のモチーフであると考えられています。 これは彼が幼少期に動物の死骸に群がる蟻を見たことがきっかけだそうです。 そう考えると『ヘレディタリー 継承』における蟻もダリの絵画的な意味合いを有しているのではないかと推察できます。 本物の幽霊?その正体とは? 映画『へレディタリー 継承』に「本物の幽霊」が映りこんでいると一部界隈では、話題になっています。 もちろんそのシーンに関しては当ブログ管理人も気がついていました。 ただあれって本物の幽霊ではないよね・・・。 映画秘宝が公開前に「都市伝説」的に広めた噂なので、まあ「信じるか信じないかはあなた次第」レベルの宣伝文句なんだとは思います。 ピーターの部屋を俯瞰で映すショットがあるんですが、実はこの時点で部屋の天井の角に母アニーが待機しているんですよね(笑) そしてそのアニーがピーターの背後を飛び去っていく演出がありまして、おそらくはその部分を指して「本物の幽霊」と言われているのではないかと推察します。 少なくとも雑誌に掲載のシーンに関して言うならば、「幽霊」の正体はアニーじゃない?と推察してます。 監督が影響を受けたと語る映画 映画『ヘレディタリー 継承』の監督アリ・アスターが本作を製作するに当たって影響を受けたと語った作品をいくつか紹介していきます。 『ローズマリーの赤ちゃん』(ロマン・ポランスキー).

次の

まさに地獄、『ヘレディタリー/継承』幻の3時間バージョンがあった ─ 監督「長い映画が好きなんです」

ヘレディタリー

魔術書「ソロモンの鍵」• 召喚呪文「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり 」 などなど、どこかで聞いたことがある言葉の元ネタである、有名な魔術書です。 ペイモンが実在するかどうかはさて置き、こうした背景をしっかり調べた《ヘレディタリー》だからこそ、 リアリティがあって怖かったですね。 ちなみに、ペイモンの見た目は「 女性の顔をした男性の姿で、王冠を被っている」とされています。 女性の顔• 中身は男性• 王冠を被っている と、いえば………、 まさに、結末のこの姿! アスター監督が悪趣味だからじゃなくて、この姿にもちゃんとした理由があるんです。 果たして、召喚は成功したのでしょうか…? チャーリーゲームのやり方 自己責任!• チャーリーゲームに必要な準備を済ませる• 参加者全員で「 Charile, Charile, Are You here? 」と唱える• 準備した物が独りでに動いたら、召喚成功 ゲームを終える時に「 Charlie, Charlie, Can we stop? 」と唱えて、霊が消えたことを確認しないと、 降臨した霊に乗り移られると言われています…。 《ヘレディタリー》における降霊術は、このチャーリーゲームがモチーフとなっています。 考察5|チャーリーが「生まれた時でさえ泣かなかった」理由 母・アニーの、 「 あなた チャーリー は生まれた時でさえ泣かなかった」 というセリフ。 実はこれも、ペイモンが体内に宿っていることの伏線でした。 生まれた瞬間からこれまで、ず~~っと泣いたことがないというのは、明らかに不自然ですよね。 このセリフはチャーリーの異常性を示しており、 生まれた時からペイモンが宿っていたことを暗示しているのです。 《ミッドサマー》も顕著でしたが、アスター監督の作品は、こうした何気ないセリフが重要な伏線だったりします。 初鑑賞中は、頭フル回転です 笑。 このクセ、両親がどれだけやめさせようとしても直りませんでしたね。 それもそのはず、 このクリッカー音もペイモンが宿っていることを暗示しているからです。 その根拠は、ペイモンが召喚された後、窓から飛び降りたピーターの体内に、光がス~ッと入り込んだシーン。 この演出によって、クリッカー音はただのクセではなく、 ペイモンが宿っていることを示すものだったことが分かります。 考察7|生後すぐにピーターが狙われなかった理由 映画を見ると分かりますが、ペイモンは、直系の男性に乗り移る悪魔です。 はて、映画を見終わった後、 ピーターが生まれた直後に乗り移ればよかったんじゃ……? と、私は最初疑問でした。 映画の中で、乗り移れない理由を言っていたのにも関わらず…。 生後すぐにピーターに乗り移れなかった理由は、 祖母・エレンに「不干渉ルール」が設けられていたため。 このルールによって、エレンはピーターに近づくことができず、さらには儀式の前に亡くなってしまったため、エレンは自らペイモンを宿すことができなかったのです。 だからエレンは、チャーリーに対してず~~っと、 「 男の子になってほしい」「 男の子になってほしい」「 男の子になってほしい」「 男の子になってほしい」「 男の子になってほしい」「 男の子になってほしい」 と言い続けていたのです…。 考察8|「男の子になってほしい」 祖母・エレンが、チャーリーに何度も「男の子になってほしい」と言っていた理由。 これは、チャーリーが男になればペイモンの召喚条件 =直系の男性に宿ること を満たせるから。 性転換すれば降霊できるのか?• 本人が「自分は男だ」と認識すればいいのか? この辺りは定かではありませんが、• 家族が不干渉ルールを設けた理由• エレンの本気度• エレンの異常性 などは、この背景から察することができますね…。 考察9|首吊り自殺をした「兄」もヒントだった 序盤にサラッとしか語られない、兄・チャールズの存在も、実は重要な伏線だったのです。 直系の男性であるチャールズに乗り移らせようとしたが、自殺したことで失敗します。 そして、 その矛先が孫のピーターに向かった、というわけですね…。 考察10|直系でない父・スティーブの存在 ペイモンの宿主は、• Satony サトニー …死者と交信するための言葉• Zasas ザザス …悪魔「コロンゾン」を呼び出す時の言葉 このような意味がありますが、ペイモン召喚になぜコロンゾンが出てくるかは、謎…。 考察15|ペイモンの勝ち誇った笑み ピーター本人の表情とは異なる、 ガラスに映る彼の、不敵な笑み。 この教室で起こる一連のシーンにて、ペイモンはついに、ピーターを操るほどの力を発揮します。 するとこの笑顔は、解放寸前であることを見せつける勝利の笑みにも見えますね…。 考察16|ピーターに被された「王冠」 この世に降臨したペイモンは、王冠を被った姿で現れるとされています。 映画の結末は、信者がペイモンを讃え、まるで降臨を象徴するかのように、ピーターに王冠を被せて終わります。 ペイモンはついに、この世に降臨してしまったのでしょうか。 理不尽がテーマの《ヘレディタリー》らしく、バッドエンドのニオイがプンプンします……。 まとめ 伏線と疑問 答えと解説 ペイモンは実在する ペイモン解放のタイミングは? 降霊術直後 チャーリーゲームとは? メキシコ発祥の降霊術。 「生まれた時でさえ泣かなかった」理由 生まれた時からペイモンが宿っていたから。 生後すぐにピーターが狙われなかった理由 不干渉ルールがあったため。 「男の子になってほしい」• エレンの異常性を示すため• 不干渉ルールを設けたきっかけ 首吊り自殺をした「兄」の存在 「母さんは、自分の中に何かを招き入れようとした。 」 直系でない父・スティーブ 降霊の妨げになるため、焼殺。 女性の頭を捧げる=ペイモンの召喚条件? 直系の女性全員の頭が無くなり、儀式にて捧げられていたため。 チャーリーの自動車事故の真相 アニーのミニチュアは「理不尽さ」の象徴• 外界 悪魔や超常現象 の支配を受ける運命にある• 外界からは、ミニチュア世界を思うままに操れる• こちら ミニチュア世界 からは、外界に一切手出しできない 壁に書かれた文字の謎• Satony サトニー• Zasas ザザス ペイモンの勝ち誇った笑み 力を取り戻しつつあるペイモンの、勝利の笑み。 ピーターに被された王冠 降臨したペイモンは、王冠を被った姿で現れる。 冒頭でも語った通り、自分が思う《ヘレディタリー》の魅力は、• 悪魔召喚にも、フィクション作品なりの理由や根拠がある• 上映開始直後から結末まで、伏線という伏線のオンパレード• 張りまくった伏線を、ほぼすべて回収する見事な作り という映画の作り込みはもちろん、 アリ・アスター監督の痛切な思いを感じられたからです。 《ヘレディタリー》を製作したきっかけについて、アスター監督はこう語っています。 不幸によって家族の絆が強まるという映画が大半を占めており、それも嘘ではないと思いますが、 不幸が起こりそこから立ち直れない人たちがいるのも真実です。 私は後者についての映画を作りたいと思いました。 《ヘレディタリー 継承》パンフレットより この、ひねくれた視点というか、不幸な人の立場から見た「家族」の描き方が、自分は本当に大好き。 ストーリー的には、完全にバッドエンド。 しかし、家族という抗えないつながりが、超常的な力によって一瞬にして消し去られる今作は、 見る人によってはハッピーエンドです。 「家族だから助け合わなきゃ」 という無条件に与えられたつながりに苦しんでいる人には、 《ヘレディタリー》は癒しになったんじゃないでしょうか。

次の