鬼灯 の 冷徹 金魚 草。 ≪楽しい≫中古 ストラップ(キャラクター) 金魚草 ふわにぎマスコットストラップ 「一番くじ 鬼灯の冷徹休日の過ごし方」 H賞 バンプレストの通販

#1 鬼灯の金魚草

鬼灯 の 冷徹 金魚 草

Aパート 瑞兆連盟 古代の中国では、麒麟・鳳凰・霊亀・応龍を四瑞とし、優れた王の治世に現れるという伝説を持つ神獣・白澤などを合わせて瑞獣と呼んでいた。 為政者達は彼らをめでたい吉兆の印として敬っていたという。 それからウン千年がたち、所変わって現在。 白澤の経営するうさぎ漢方極楽満月の店内では、麒麟・鳳凰・白澤が互いに「じじい」「じじい」と言いあう姿を、冷や汗まじりの桃太郎が見守っていた。 Bパート エキセントリック不思議妖怪 閻魔殿裏の金魚草畑で揺れる金魚草。 一番大きな金魚草に乗り機嫌よさげな座敷童子を見た桃太郎は、ホッと胸をなでおろす。 実は以前に座敷童子の性質のために、白澤とともに引っ越しを余儀なくされたが、座敷童子が立ち去ってからは、その行く先を心配していたのだった。 座敷童子は家専門の妖怪。 住みつけば好きに暮らすが具体的にどう暮らしているかは、鬼灯も知らないという。 座敷童子の一日とは?.

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鬼灯 の 冷徹 金魚 草

鬼灯が金魚草を育てる理由。 白澤さまに夢を見過ぎているかも…。 まだ煙管がないのは承知ですが、思わず書いてしまった。 携帯からなので、見苦しかったら済みません。 夜中のテンションで書きあげました。 2月18日付のデイリーランキング51位にもなっていて、驚きと喜びでいっぱいです。 ふと気づいたら300userのタグがついてる…!と、言う間に500を越していました。 嬉しさと驚きで卒倒しそうです。 閲覧、ブクマ、フォロー、評価、タグ付けして下さった皆様、本当にありがとうございます!!• 今日の晩ご飯はなににしようか。 報告書を提出し終え、業務を終えた唐瓜は、そんなことを考えながら閻魔殿の長い渡り廊下を歩いていた。 大広間から離れたこの外廊下にも庭にも人気はなく、延々と続く土塀を見るともなしに見ながら歩く。 角を曲がると、続いていた白い土塀に赤が咲いた。 金魚草の大群だ。 正確に言うなら花園なのかもしれない。 いや、金魚草は鳴いて動くから、大群であっているのか。 動物なのか植物なのか判然としないその不思議な動植物は、夕刻のぬるい風に吹かれて波打っていた。 思わず止めた足を進めると、金魚草の群の前に佇む人がいる。 黒字に赤い襟の道服を纏ったその人は、底に穴をあけたバケツで、金魚草に水を遣っていた。 「鬼灯様、お疲れさまです」 声をかけると長身の男はゆるゆると振り返る。 黒い切れ長の眦を縁取る赤が、なぜかそのときは印象的だった。 「お疲れさまです、唐瓜さん。 今日の業務は終いですか?」 細い面からは想像できない低重音が風に流れるように届いた。 唐瓜は答えを返しながらなんとなしに庭に降りた。 深い意味はない。 横に並ぶと、鬼灯も金魚草も背が高い。 「鬼灯様が一人で世話をしているんですか?」 「ええ、ずっと私一人で世話をしています。 もう何千年も」 金魚草を見る鬼灯の瞳は柔らかい。 初めて金魚草は見たときは、虚ろな黒目に空いた口、ゆらゆら揺れる尾鰭が不気味でいやだった。 なぜこんな不気味な物が、この閻魔殿にあるのかと思ったものだ。 だがそんな金魚草も、いつも仏頂面のこの上司に、ほんの少しでも柔らかな雰囲気をもたらしてくれることに気づいてからは、これも、そう、悪くないなと思いだすから不思議なものだ。 「正面の場所にも植えてますよね。 なんでこんな裏の場所にも金魚草を植えているんですか?」 ふと、鬼灯の肩が揺れた。 訝しげに見上げると、そこにはいつもと変わらぬ仏頂面の鬼灯がいて、唐瓜をじっと見下ろしていた。 その瞳が不意に揺れる。 それはほんの一瞬で、見逃してしまいそうな僅かな変化だった。 「そうですね、ここに植えたのはーーー」 * * * 「下に丸太を敷いてください。 効率よく運べますよ」 力任せに石版を引っ張る人夫に指示を出す。 人夫は驚いたように動きを止めてから、すぐに鬼灯の指示に従った。 彼らはよくがんばってくれているが、それでも閻魔殿の建設は予定よりも一ヶ月近く遅れていた。 建築図に目を遣って、著しく遅れている現場の場所を確認しながら歩き出す。 どこの現場へ行っても必ず言われるのは「人手不足」だ。 そんなことは鬼灯だってわかっている。 まだまだ混乱している神代の黄泉。 閻魔庁の設立に前向きでない鬼も多い。 吐息して顔を上げると、渡り廊下の欄干の上に白い物が乗っている。 建築材だろうか。 それにしてもあんな細い欄干の上に器用に乗せたものだ。 近づくと、白い布をかぶったそれの下から何か伸びて、ゆらゆらと揺れている。 目を細めてさらに近づくと、それは白い装束を纏った人だった。 もちろん、亡者ではない。 その人は欄干の上に腰掛けて、出来たての白い土塀の方を向いている。 斜め後ろから見ている鬼灯には、その人の顔は見えない。 だが見かけない人であることは、纏った着物が白地に金刺繍のほどこされた漢服であることから伺いしれた。 あんな上等な召し物をぞんざいに着こなす鬼なんていない。 その人は高いだろう漢服が皺になることも汚れることも気にならないのか、ほこりっぽい資材置き場とかした廊下の欄干に腰掛けて、足をゆらゆらと揺らしていた。 ゆれる足と一緒に、腰に巻いた帯の端が揺れている。 ゆらゆら揺れる腰帯は、それ自体は白いのに、先端だけが赤く染め抜かれていた。 ときおりその人の足に絡まりながら揺れる帯は、何かを彷彿とさせたが、それが何かまでは出てこない。 考えを巡らせていると、後ろから聞き覚えのある声がかかった。 「鬼灯、こんなとこにいたのか、探したぞ」 「烏頭さん」 振り返ると旧友が片手をあげて立っていた。 「閻魔大王が探してるぞ。 なんでも相談したいことがあるとか」 「ーーチッ、あの爺、そうやって何でもかんでも押しつけてくる」 おいおいとたしなめてくる烏頭の声を聞き流す。 ふと、その人が動く気配がして肩越しに振り返った。 するとちょうどその人も、ゆるゆると肩越しにこちらを振り返る。 黒い切れ長の眦を縁取る赤が、印象的な男だった。 男はにっこりと笑うと、欄干を軽やかに飛び降りて歩いていく。 白い装束から延びる帯がひらひら揺れる。 揺れる赤い色は鮮やかで、ああそうだ、魚の尾鰭みたいなんだと合点した。 「中国神獣の白澤様じゃないか」 「中国神獣の」 「ああ、桃源郷に普段はいるらしいけれど、ときどきこうやって地獄にもくるらしい。 ほら、サクヤ姫のところに連れて行ってくれた神獣だよ。 覚えているだろ?」 もちろん、覚えている。 ただ、きちんと認識したのはこれが初めてというだけだ。 白い男だな。 そして目に残る赤。 それが「神獣白澤」の第一印象だった。 [newpage] 次に閻魔殿でその白い男を見かけたのは、第一補佐官になってからだった。 イザナミ女王から仕事を引き継いだばかり、鬼灯は多忙だった。 多忙でないときなんてなかったのかもしれないが、そのときはいつも以上にとても多忙だった。 誰も彼もが鬼灯の顔を見るなり「鬼灯様!相談したいことが!」と訴えてくるのだから、仕事は片づけても片づけても舞い込んできた。 意図したわけではなかったが、鬼灯はその日、人通りの少ない外廊下を歩いていた。 正面からはずれたこの廊下は、保管庫への最短の道で、それ以外の場所へ行くには迂回に当たる廊下だった。 鬼灯は保管庫を目指していた訳ではないから、迂回の道を選んだことになる。 無意識に、人目を避けたい気持ちが合ったのかもしれない。 現に、誰に会うこともなく鬼灯は廊下を歩いていた。 渡り廊下を曲がると、庭で何かが動いている。 不審に思いながら近づくと、白い服の男がうずくまって何かをしている。 それが件の神獣であることは、相変わらず高そうな漢服を纏っていることからも明白だった。 確か名前は。 「何をされているのですか、白澤様」 男の動きが止まった。 鬼灯が庭に降りてくるのをまっていたかのように、男がゆるゆると振り返る。 黒い切れ長の眦を縁取る赤が、やはり印象的だった。 「やあこんにちは」 明るい声で白澤は挨拶をして立ち上がった。 手をパンパンと払いながら鬼灯に向き直る。 にっこり笑った顔は、立ち去っていったあの日と同じ笑顔だった。 「君はあれだよね、第一補佐官のーー」 「鬼灯です」 鬼灯。 音を出さずに白澤が言う。 赤い唇がゆるゆると弓張り月の形になった。 「なにをされていたんですか?」 重ねて問いながら、白澤のしゃがんでいた場所を見る。 土を掘り起こした跡があった。 白澤は懐から小瓶を取り出すと、中に入った液体を掘り起こした跡に掛けた。 「花の種をね、植えてみたんだ」 「花の種」 「そう、だってここって殺風景じゃない?木も花も咲いてない、あるのは渡り廊下と土塀だけ。 なんだか寂しい場所だと思ってさ」 「地獄では木は育っても、花が育つことは希です。 特にここはほかの場所よりも薄暗いし、じめじめしていますから、花など育たないでしょう」 知ってるよ。 呟くように白澤は言って、でもね、と続けた。 「植えてみないとわからないじゃない。 世話をしてやれば案外、育つかもよ?それに、僕が植えた花は特別なんだ」 「特別、ですか?」 「そう。 特別な花。 桃源郷に自生している花でね、すごく強いんだ。 建物の影でもぐんぐん育つ。 おまけに成長が早い。 二十日もすれば、大振りの赤い花が咲くんだ」 「赤い花ですか」 「そう、赤い花」 白澤が顔をあげて鬼灯をみた。 赤い縁取りがやはり印象的だ。 「ただ、一つだけ注意しないといけないことがある」 「それはなんですか?」 「水の量だよ。 桶いっぱいの水を一日に二度はやらないと、すぐに枯れちゃうんだ。 でもそれさえ気をつけてやれば、あとは特別なことをしなくても育つ」 「それなら、地獄でも育ちそうですね」 そうでしょう?にっこり笑ったその顔は、やはりあの日と同じ笑顔だった。 [newpage] 汲んできた桶の水を、底に穴をあけた桶へと移し返す。 水が流れ出るのを最小限にすべく、すぐにかかげて掛けてやった。 もちろん場所は、あの白澤が花を植えた場所だ。 水をかけ終えた鬼灯は、二つの桶を両方とも逆さまにして地面に置いた。 これで、今日の水やりは終了の合図だ。 「あー、やっぱり君のが早いね。 謝謝」 廊下から白澤が降りてきた。 今日もやはり高そうな白い漢服を纏っている。 「いえ、私の職場は近いですから。 夕刻ぐらいはやっておきます」 「ありがとう。 でも、やりだしたのは僕だからね、できるだけくるよ」 白澤が花を植えた日に、二人は一つの約束事を決めた。 朝の水やりを終えたら、桶を一つだけ下に向ける。 夕刻の水やりを終えたら、桶を二つとも下に向ける。 白澤は朝は必ずこれるけれど、夕刻は調剤に夢中で忘れてしまうかもしれない。 なら、夕刻に鬼灯がやってきて、桶が一つだけ下を向いていたら、代わりに水を遣っておく。 花を植えて二日目、鬼灯が通りかかったときには桶は二つとも下を向いていた。 白澤がやってきて、すでに水を遣ったという合図だ。 三日目、通りがかると白澤が水を遣っていた。 鬼灯は声もかけずに立ち去った。 四日目、桶は一つしか下を向いていなかった。 鬼灯は水を遣って、桶を二つとも下に向けた。 五日目、桶は一つしか下を向いていなかった。 水を遣っていると白澤がやってきて、礼を言われた。 あの日と同じ笑顔だった。 六日目、桶は一つしか下を向いていなかった。 水を遣っていると白澤がやってきて、「今日も先を越されたね」と、あの日と同じ笑顔で言った。 七日目、桶は一つしか下を向いていなかった。 水を遣っていると白澤がやってきて、「君のが早いね」と、あの日と同じ笑顔で言った。 だから鬼灯は、「職場が近いので」と返した。 それが今日のことだ。 「ほらみて、もう芽が生えてきたよ」 しゃがみ込んで白澤が言う。 三角巾を見下ろして鬼灯は相づちを打った。 「順調に育っているようで何よりです」 「これなら、本当に地獄でも花は咲くかもね」 立ち上がって白澤が言う。 「君も順調に育って、立派に花開いたみたいだしね」 動揺で、肩が揺れるがわかった。 「覚えていたんですか」 「覚えているよ」 白澤がするりと距離を縮めてくる。 その顔にあの笑顔はない。 鬼灯は固唾をのんで見つめた。 閻魔殿で出会うよりも前に、二度、鬼灯は白澤と出会っている。 一度目にあったとき、白澤は美人に惹かれて下卑た笑みを浮かべていた。 二度目にあったとき、白澤は前後不覚に酔いつぶれてヘラヘラ笑っていた。 そして三度目にあったとき、白澤はとても柔らかく優しくにっこりと笑った。 三度目に会った日。 あのときはよくも人間に捕まったのを見捨ててくれたなと、恨み言の一つでも言われるかと思った。 なのに予想に反して白澤は笑った。 にっこりとすべてを許して包み込む、柔らかく暖かな神の笑みは、「神獣白澤」の第一印象として鬼灯の心に焼き付いた。 神だからこそ持ち得る慈悲で、あの日のことは許されたのだと思っていた。 しかしそれは鬼灯の思い違いだったらしい。 神獣は今は真顔に近い無表情で、鬼灯へと距離を縮めてくる。 ついに非難される日が来たか。 白澤の白い手が伸びてくる。 金棒を置いてきたことを悔やんだ。 同時に、一発ぐらいなら殴られてもいいかなという気もしていた。 「本当に大きくなったね、子鬼くん」 しかしこれまた予想に反して、白澤の白い手は、同じ高さにある鬼灯の頭を撫でていた。 驚いて顔を見ると、やはり白澤は柔らかくにっこり笑っていて、その笑顔は喜んでいるように見えた。 「覚えているんですか?」 あなたを見捨てて帰った鬼のことを。 「覚えているよ。 天孫の美人妻にはちゃんと会えた?」 覚えてないんですね、二度目のことは。 ほっと安堵して、でもそれを出さずに小さく吐息した。 思えばしこたま酔っていたから、記憶がないのかもしれない。 「サクヤ姫ですね。 ちゃんと会えましたよ。 しかし、よく覚えていますね」 「そりゃーねぇ、君みたいな一本角は珍しいからね。 忘れられないよ」 忘れているくせに。 言い返さない代わりに手を払いのけようとすると、それよりも早く、頭を撫でていた手がするりと鬼灯の角に触れた。 ゾクリと背中に痺れが走った。 白澤が手を動かす度に痺れが走る。 とっさに鬼灯は歯を食いしばって耐えた。 思えば、鬼灯は他人に角をさわられた経験がない。 頭は閻魔大王がときどき撫でてくるので慣れているが、鬼の角を触ってくる相手など今までいなかった。 他人に触られるとこんな感覚がはしるのか。 白澤のほっそりとした指先は角の頂点を摘むように触り、するりとすべり落ちて、額の生え際をぐるりとなぞった。 鬼灯は背中に走る痺れに耐えながら、でも表情は変えずに、無心に触れてくる白澤の顔を見つめた。 背中の痺れは耐え難かったが、それ以上にこの体制を崩したくなかったのだ。 同じ影を踏み、息がかかるほど近くにいても、神獣はやはり美しい。 [newpage] 九日目で葉っぱが生えてきた。 八日目にはやってこなかった白澤は、九日目には水を遣っていて、鬼灯に気づくと「ほら見てよ!」とはしゃぎながら手招いた。 気づくと同時に、はじける笑顔を向けてきた白澤を見ると、君が来てくれてうれしいと、屈託なく言われている気がした。 そして鬼灯は、そんな笑顔を人に向けられた記憶がなかった。 忙殺されて荒んだ心に、ふんわりと暖かな何かが広がってくるのがわかった。 「これなら本当に花が咲くよ。 あと三日もすればつぼみが出てくるね」 にこにこ笑って教えてくれた白澤だったが、近づいてきた鬼灯を見ると目を丸くして固まった。 「凄い隈だね、寝てないの?」 「一徹目なのでまだ大丈夫です」 その言葉に、あきれたように白澤は苦笑して、それから「無理しちゃだめだよ」と、心配そうに案じてくれた。 また胸に、暖かい何かが広がるのを感じた。 それの正体を、鬼灯は知らない。 * * * 十日目、廊下の角を曲がると白澤はいなかった。 鬼灯は驚いて足を止め、呆然と誰もいない庭先を見つめた。 あの角を曲がると白澤がいて「見て、また成長しているよ!」。 あの屈託のない笑顔が待っていると思いこんでいた。 そして、無意識にその光景を夢想していたことに狼狽えた。 「どうしたの、鬼灯」 立ちすくんでいた鬼灯は、聞こえた声にガバリと振り返った。 勢いが良すぎたか怖い顔をしていたか、おそらくその両方だろう。 白澤は「ひぇ」と小さくひきつった声を出して固まっている。 「すみません、びっくりしたんです」 いつもの無表情に戻して言うと、白澤は「そう、ごめん」とまだひきつった声でそういった。 でもすぐに表情はいつもの柔らかい物に変わって、「水やりは?」と尋ねた。 水を終えて振り返ると、白澤がにこにこ手招いていた。 鬼灯は習慣で桶を二つともひっくり返してから、階に座る白澤の横に腰掛けた。 白澤はなにやら横を向いてごそごそしていた。 しばらくすると鬼灯に向き直って、両手に包むように持った椀を差し出してきた。 「おいしく食べて医食同源、働きすぎるなよ」 椀からは暖かな湯気とおいしそうな匂いが立ち上っている。 鬼灯が驚いて白澤を見ると「徹夜したっていってたからね、作ってきた」と柔らかく笑った。 白澤の向こうに、持参したとおぼしき竹筒が置いてある。 「ありがとうございます」 受け取る手が緊張していることを、どうか気づかないでほしい。 なぜ緊張しているのか、鬼灯にだってわかっていない。 また例の暖かな何かが胸の中を広がっていく。 薬膳汁を流し込むと、今度は胃が物理的に暖まるのがわかった。 「おいしいです」 素直にこぼした声に、白澤が「ふふん」と胸を張る。 「なんたって、この僕が作った薬膳だからね」 嬉嬉として自慢話を始めた白澤を見ていると、なんだかこそばがゆい気持ちになった。 そこには神獣としての壮大さはなく、子供のような拙さがある。 「あなたちゃんと漢方の知識があったんですね。 見かけ倒しかと思っていました」 思わずひねくれたことを言うと、先ほどまでの鼻の高さはどこへやら、とたんにムッとした顔になった。 「失礼な奴だな。 僕を誰だと思ってるの?知識の神、白澤だよ」 それに、と続けて白澤が笑った。 それは、鬼灯がかつて見たことのある、例の下卑た笑いだった。 「漢方を熟知していると、女子に大人気だよー」 「ーーーー下卑たやり方ですね」 胸に広がっていた暖かな何かが、急速に冷えていくのを感じた。 「そんなことないよ、漢方は冷え性やーーー」 「あなた、調剤に忙しくて水やりにこれないのではなく、女の尻を追いかけているから来れないんじゃないんですか」 「なんだよ、そんな訳ないだろ!本当に忙しくてこれないの!僕の漢方を待っている人がたくさんいるんだよ。 お前の薬膳はその順番をとばして作ってやったんだからね、感謝してよ!」 口をへの字に曲げた白澤だったが、ふいにその顔が真顔になる。 つっと白い手が持ち上がって、鬼灯に伸びてくる。 頭を撫でたあの時のように。 また撫でられるか、角に触れられるか。 黙ってみているとその手は予想に反して、鬼灯の頬に触れた。 瞠目する鬼灯の目の縁を、ひんやりとした親指がなぞる。 「凄い隈だね、また徹夜したの?」 「・・・二徹目だからまだ大丈夫です」 お前ねと、今度はあきれたように苦笑する。 忙しく表情のかわる男だなと、関係のないことを考えた。 そうしないと、頬に触れる手に、意識を持って行かれそうだった。 「まだ、まだって、いつ倒れるの?」 「わかりません、実験中です」 「バカな実験するなよ」 白澤の手が離れた。 名残惜しい、そう思ったことに驚く。 でもその驚きは、白澤が角に触れたことで上書きされた。 「お前さ、一本角ってことは生粋の鬼じゃないんだろう?無理すると死んじゃうよ」 「ーーーかつては人間でした」 「そう、人間だったの」 「死は一度、経験しています」 白澤の手が止まる。 白澤はすぅと目を細めて、そう、とつぶやいた。 白澤の手が角の生え際をぐるりと撫でた。 背中に痺れが走る。 手を離して白澤は前を向き、立てた膝に顎を乗せた。 それから思いついたように口を開く。 「お前に漢方を教えてあげるよ」 「漢方を、ですか?」 「今日みたいな薬膳や、鬼に滋養のある漢方薬の作り方だよ。 僕が作ってあげるのが一番だけどさ、そうはいかないときは自分で作るんだよ。 知っていて損はないだろう?」 ね?と、下から伺うように、膝に頬を乗せて首を傾げる。 どうしてだろう。 もう角には触れられてはいないのに、背中に痺れが走るのを、鬼灯は確かに感じた。 [newpage] 十一日目、桶は二つともひっくり返っていた。 しかし白澤はそこにいて、階に座って巻物を広げている。 漢方に関する文献だった。 閻魔大王に聞いたけれど、お前って頭がいいらしいね。 すぐに覚えちゃうんだろうね。 十二日目、白澤は感心したようにため息をついた。 もうお前は覚えたんだね、早いな。 頭も良くて顔もいいんだから、女の子にもてもてでしょ? 「もててももてなくても関係ありません」 「この朴念仁め。 いや、違うな。 お子さまにはパッツンパッツンのお姉さんの良さがまだわからないのかな?」 「そんな下卑た笑いを浮かべて鼻の下を伸ばすくらいなら、わからない方がましです」 「よく言うよ。 上は大水、下は大火事、漢にとっての正解はなーんだ?」 「ーーー据え膳食う前における、脳と本能」 「なんだよ、わかってるじゃん」 十三日目、白澤が小躍りしていた。 「みろよ鬼灯!蕾ができたぞ、僕のいったとおりだ」 あまりにも白澤が喜ぶから、鬼灯も顔がほころぶ。 「あれ、いまお前、笑った?」 「ーーー笑ってませんよ」 「いーや、笑った!僕は見たぞ!」 「うるさい、白豚」 「誰が白豚だ!僕は白澤だ!!」 十四日目、今日も水やりをやってから漢方について学ぶ。 そして話は脱線して、白澤の女遊び、鬼灯の仕事、極楽蜻蛉め、朴念仁めといがみあい。 不意に笑いあって白澤が言う。 「白澤様って呼び方やめてくれない?お前には漢方を教えているけれど、弟子って訳でもないし」 「じゃあなんと呼びましょう・・・白豚?」 「いや、なんでそうなるんだよ!おかしいだろ!」 「では・・・白澤さん、と」 こそばがゆい気持ちになったのは、きっと白澤がこそばがゆそうに笑ったからだ。 十五日目、白澤は蕾の前にしゃがみ込んでいた。 近づくと、白澤がゆるゆると肩越しに振り返る。 黒い切れ長の眦を縁取る赤が、なぜかそのときは印象的だった。 「咲くかな、鬼灯」 か細い声に驚いて、鬼灯は立ち止まる。 「咲くでしょう、白澤さん」 咲くか。 つぶやいて、白澤は目を閉じた。 目を縁取る鮮やかな赤とは対照的な黒いまつげが、白い頬に影を落とす。 影がゆるりと震えて、白澤が目を開けた。 鬼灯を上目遣いに見て、ふと、笑う。 いつものにっこりとした笑顔だ。 でもどこか寂しそうに見えたのは、なぜだろう。 「もう、あと五日だね」 「まだ五日もあるんですね」 声が重なった。 驚いて見つめ合う。 「もう」といった白澤と、「まだ」といった鬼灯。 同じ五日後を指す形容詞の違いに、白澤の口元が歪んだ気がした。 しかしそれは瞬きをする間に弓張り月の形に変わっていた。 「そうだね、鬼灯。 まだ五日もある」 さぁ、今日は薬膳について教えようか。 立ち上がった白澤は、なぜかその日は鬼灯と、目を合わせてくれなかった。 十六日目。 打って変わって白澤は明るかった。 昨日、目を合わせてくれなかったことを密かに気にしていた鬼灯はほっとした。 もちろん表には出さなかったが。 白澤はいつも通りのコロコロ変わる表情で、鬼灯の物覚えの良さに感嘆し、からかいに怒り、働きすぎだと心配して、それからにっこり笑った。 例の胸に広がる暖かい何かは広がりすぎて、鬼灯は改めてその何かについて意識することは無くなっていた。 去り際に白澤が言う。 「あと四日で花が咲くね」 「咲きますね」 視線を感じて顔を上げた。 白澤が鬼灯を見ている。 あの笑顔はそこにない。 目が合うと、白澤が笑った。 あの日と同じ笑顔だった。 十七日目、白澤は来なかった。 十八日目、白澤は来なかった。 そんな気がしていた鬼灯は、持参した煙管に火を入れた。 十九日目、白澤は来なかった。 桶が一つは下を向いているから、朝は来ているのだろう。 水をやった鬼灯は煙管に火を入れて、欄干にもたれた。 紫煙をゆるりとはいて考える。 白澤は明日はくるだろうか。 蕾は今にも開きそうなぐらいに膨らんだ。 もう五日しかないと白澤はいった。 花が咲くことを楽しみにしながら、その日が来るのを惜しむのは、少しは鬼灯と過ごすこの時間を楽しんでくれているからだろう。 ではなぜ彼は来なくなったのか。 目を閉じると白澤の顔が浮かぶ。 胸に広がっていた暖かな何かは、いつしか鬼灯の胸を縛る縄となって絞め付けてくる様になった。 胸が苦しい。 瞼裏に浮かぶ白澤は笑っていたり怒っていたり、すねていたりするけれど、最後にはやはりにっこり笑っている。 その笑顔が浮かぶと胸を縛る縄が容赦なく絞まっていく。 正体のわからなかった暖かな何かも、縄と化して絞めてくるそれも、今の鬼灯なら名前をつけることができる。 ゾクリと、背中に痺れが走った。 覚えのある感覚と気配に目を開ける。 庭に降りて欄干にもたれる鬼灯を見下ろすように、廊下側から白澤が身を乗り出していた。 白い手が、鬼灯の角を撫でている。 目が合うと、白澤は赤い唇を弓張り月の形にして、するりと鬼灯の頬を撫でた。 その手が滑って唇に触れる。 鬼灯はじっと目をそらさずに白澤を見ていた。 白澤の指先は唇をなぞり、顎先をさわり、また唇に戻って、煙管を掴んだ。 鬼灯が口を開くとするりと奪い取った。 「ようやく来たか、白豚め」 「僕をそう呼ぶのはお前だけだよ、尊大なやつめ」 煙管をもてあそぶ白澤は、相変わらず弓張り月の笑顔のままだ。 ゆらりと揺れる耳飾りを掴むと、ふと真顔になった。 ぐいっと引っ張ると、顔をゆがめて叫んだ。 「痛い痛いッ!もげる!」 「もげろ!」 「もげないよ!やだよ!はなしーーー」 続く言葉を吸い込んだ。 白澤の後頭部をつかみ、仰け反って唇を合わせる。 白澤は瞠目したがすぐに真顔になり、そして目を閉じた。 鬼灯は目を閉じず、そんな白澤の様子を見つめた。 舌を押し込むと白澤は抵抗せずに受け入れた。 むしろ歓迎するように、入り込んだ鬼灯の舌に舌を絡めてくる。 器用に動く舌は、鬼灯の口内に入り込んで牙をかすめて出て行った。 「神獣に手を出すなんて、恐ろしい子」 「接吻したくて煙管をとったんでしょう?」 「接吻したかったから、煙管で我慢してたんだろ?」 さすがは神獣、お見通しらしい。 「降りてきなさい」 「やだね」 「ではそちらに行きます」 「だめだよ」 「なぜです?」 白澤は答えなかった。 目を細め、鬼灯の頬に触れてくる。 「だめだよ、こっちに来たら」 「ならこちらに来てください」 「それはできない」 「私が鬼で、あなたが神獣で、あなたが桃源郷の生き物で、私が地獄の生き物だからですか?」 白澤は答えなかった。 鬼灯はじれて、撫でてくる手を掴んだ。 「桃源郷の花は地獄では咲けませんか?」 「どうだろうね」 「地獄で花は育ちませんか?」 「どうだろうね」 白澤さん。 呼びかけると、白澤が笑った。 でも鬼灯には泣いているように見えた。 「名前を呼んでよ、鬼灯。 僕を白豚なんて呼び方するのもお前だけだけど、白澤さんと呼ぶのも、お前だけなんだよ」 [newpage] 胸に広がる暖かな何かに鬼灯は戸惑って、でもその何かは広がりすぎて、いつしか鬼灯はその何かについて意識することはなくなった。 するとそれは縄と化して鬼灯の胸を締め上げて、鬼灯を苦しめた。 それで鬼灯は考えた。 本当はもっと早くに考えるべきだったのかもしれない。 仕事に支障を来すようになって、もう逃げられないと観念して、それでやっと鬼灯は、それらの正体に向き合った。 そしてその正体に名前を付けることができたとき、鬼灯は誓った。 花が咲いたら、白澤に言おう。 「あなたを慕っております」 二十日目、誰もいない庭先で、鬼灯はぽつりと呟いた。 桶は二つとも上を向いていた。 それが白澤の答えだった。 * * * 今日の晩ご飯はなににしようか。 報告書を提出し終え、業務を終えた唐瓜は、そんなことを考えながら閻魔殿の長い渡り廊下を歩いていた。 大広間から離れたこの外廊下は、食堂までの迂回ルートに見えて、実は近道だ。 人でごった返す内廊下を使うよりも早く目的地にたどり着けることを偶然知ったのは、三日ほど前のことだった。 三日前のその日、唐瓜は鬼灯を見かけた。 そして金魚草に水を遣る鬼灯に、なんとなしに尋ねた。 「なぜここに金魚草を植えたのか?」と。 金魚草は閻魔殿の正面にほど近い中庭にも植えられている。 そこは鬼灯の自室から近いため、栽培の場所としては打って付けだと思えた。 対してこの外廊下に位置する庭は鬼灯の自室からも執務室からも遠く、水を遣りにくるのも一苦労だと思えたのだ。 「そうですね、ここに植えたのはーーー勝負を、したんです」 「勝負ですか?」 思いもしなかった言葉に驚くと、鬼灯は珍しく言いよどむように言い直した。 「いや、賭けた、という方が正しいのかもしれませんね」 「勝負に賭けですか?」 「そうです」 少し考えるように遠い目をしてから、鬼灯は語り出した。 ある人がね、ここに花を咲かせたいと言ったんですよ。 ここは何もないから寂しすぎると。 いま思えば、寂しいのなら、城壁みたいに絵でも描けば良かったんですけどね。 それでその人は花を植えることにしました。 いまでこそ品種改良された花が地獄でも育っていますが、あの当時は地獄に花はありませんでした。 そうです、それぐらい昔の話です。 私が補佐官になってまもなかったぐらい昔のことですよ。 その人はね、花の種を植えてから言うんです。 自分は毎日水やりにこれないかもしれないと。 ちゃらんぽらんな人ですよ、だったら植えんなよ。 仕方がないので、私も来られるときにやってきて、水を遣ることにしました。 朝にその人が水を遣って、夕方に私かその人のどちらかが水を遣る。 花は二十日で咲くとその人は言いました。 花ですか?咲きませんでしたよ。 あろうことかその人、二十日目の朝に水を遣らなかったんです。 それで、花は枯れました。 正確に言うと、膨らんでいた蕾がしぼんでいたんです。 勝手にもほどがあるでしょう?二十日間も人をつきあわせておいて、最期がそれです。 腹が立つので、今でも会う度に仕返しはしているんですけどね。 ーーええ、そうです、今でも顔は合わせる関係ですよ。 それで私は仕方がないので、独自に地獄で育つ花はないか調査することにしました。 あいつが台無しにしたので、私ひとりでやり遂げて遣ろうと思ったんですよ。 それで色々試して、結局、育ったのがこの金魚草だけでした。 これも、花と言えば花です。 尾鰭なんか赤くてひらひらしてて綺麗でしょう? さぁ、なぜ最期に水を遣らなかったのか、聞いたことがないからわかりません。 もう昔のことなので、今更、理由を知ろうとも。 でもきっと。 「怖かったんだと思いますよ」 「花が咲くことがですか?」 「花が咲くというよりは、」 鬼灯を見た。 彼は一瞬迷ったような顔をしたが、すぐにいつもの仏頂面になった。 「花が咲いて、そのあとに起きることが怖かったんだと思います。 花が咲けば何が起きるか、あの人はきっと気づいていたんでしょう。 そしてそれを受け入れることが怖かったのか、それとも、受け入れる気がなくて避けたのか。 それはわかりませんが、花が咲いたあとに起きることを、そしてそれよにってもたらされる変化を、彼は恐れたんだと思います」 まったく、勝手な人です。 そう締めくくって押し黙った鬼灯に、勝敗の行く末を尋ねることはできなかった。 それが三日前のことだ。 きっと勝負に負けたと思ったに違いない。 だから鬼灯は賭けた。 今度こそは、鬼灯の勝負に受けて立つことを、そして受け入れることを、金魚草に託して賭けたのだ。 角を曲がると、続いていた白い土塀に赤が咲いた。 金魚草は相変わらず不気味な顔で揺れている。 でもあの話を聞いたからか、ひらひら揺れる尾鰭が綺麗に見えないでもない。 階に黒い道服の男が腰を掛けている。 鬼灯だ。 声をかけようとして、唐瓜は足を止めた。 それと同時に夕刻のぬるい風が吹いて、金魚草が揺れる。 鬼灯の横から白い布がひらりと舞った。 鬼灯に重なってよく見えないが、誰かが隣に座っているらしい。 もう一度、風が吹いた。 腰帯らしい白い布は、先端が赤く染め抜かれていて、風に揺れる様は金魚の尾鰭みたいで綺麗だ。 そう思ったとき、鬼灯がそっとその帯を掴んだ。 唐瓜はくるりと踵を返して、元来た道を戻りだした。 この外廊下を使うことはもうないだろう。 そして、忘れることはないだろう。 金魚の尾鰭を掴んだ鬼灯の、優しい顔を。 鬼灯が賭けに勝ったかどうか、その勝敗を唐瓜は聞かない。 鬼灯だけの、金魚草。

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Aパート 瑞兆連盟 古代の中国では、麒麟・鳳凰・霊亀・応龍を四瑞とし、優れた王の治世に現れるという伝説を持つ神獣・白澤などを合わせて瑞獣と呼んでいた。 為政者達は彼らをめでたい吉兆の印として敬っていたという。 それからウン千年がたち、所変わって現在。 白澤の経営するうさぎ漢方極楽満月の店内では、麒麟・鳳凰・白澤が互いに「じじい」「じじい」と言いあう姿を、冷や汗まじりの桃太郎が見守っていた。 Bパート エキセントリック不思議妖怪 閻魔殿裏の金魚草畑で揺れる金魚草。 一番大きな金魚草に乗り機嫌よさげな座敷童子を見た桃太郎は、ホッと胸をなでおろす。 実は以前に座敷童子の性質のために、白澤とともに引っ越しを余儀なくされたが、座敷童子が立ち去ってからは、その行く先を心配していたのだった。 座敷童子は家専門の妖怪。 住みつけば好きに暮らすが具体的にどう暮らしているかは、鬼灯も知らないという。 座敷童子の一日とは?.

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